食べ物が美味しそうな本3選
最近また小説やマンガに手が伸びるようになってきました。
久々に創作された物語を読んで気づいたことがあります。
「食べ物がおいしそうな物語が好き」ということ。
料理漫画ではないです。
なんていうか、料理がそこそこ重要なシーンを占めていて、
日常の生活として描写されたそれが生き生きと脳裏に浮かび、あー自分でもなにか作って食べたいな。
食べると胃の中があったかくなるんだろうな。
生きる力が湧いてくるんだろうな。
そう思うような物語。
「食べ物がおいしそうな物語が好き」って観点で本を選んだことはなかったのですが、今思い返して、そういう点で記憶に残っている本3選。
3位 野田サトル 「ゴールデンカムイ」
莫大な埋蔵金を巡る生存競争サバイバル!!
舞台は気高き北の大地・北海道。時代は、激動の明治後期。
日露戦争という死線を潜り抜け『不死身の杉元』という異名を持った元兵士・杉元は、 ある目的の為に大金を欲していた…。
一攫千金を目指しゴールドラッシュに湧いた北海道へ足を踏み入れた杉元を待っていたのは、 網走監獄の死刑囚達が隠した莫大な埋蔵金への手掛かりだった!!?
雄大で圧倒的な大自然! VS凶悪な死刑囚!!
そして、純真無垢なアイヌの少女・アシリパとの出逢い!!!
莫大な黄金を巡る生存競争サバイバルが幕を開けるッ!!!!
引用元:ゴールデンカムイ公式サイト│スペシャル
アイヌのアシリパちゃんたちが作る料理は馴染みのないものばかりだけど、生命をあますことなくいただいている感じが非常にグッときます。
栽培や養殖・畜産とは違い、自然の中から必要なだけを必要な時にいただく、ということがとても「今っぽい」。
チタタプ、食べてみたい…
後に挙げる2冊とは趣が違うけれど、野性味あふれる食事に私もなにか食材を思いっきりワイルドに調理して味わいたい!という気持ちになります。
大勢で食事をとる際、みんなの様子が1枚の絵画のように1画面に描かれている時があるのも楽しいです。
2位 瀬尾まいこ 「そして、バトンは渡された」
私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。
高校二年生の森宮優子。
生まれた時は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、現在は森宮を名乗っている。
名付けた人物は近くにいないから、どういう思いでつけられた名前かはわからない。
継父継母がころころ変わるが、血の繋がっていない人ばかり。
「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。
引用元:本屋大賞受賞!『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ・著 私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。 | 特設サイト - 文藝春秋BOOKS
継父である森宮さんの作る料理が最高にあたたかい。
優子ちゃんの始業式、学校でうまくいかないとき、受験勉強…
森宮さんがその時々に作る家庭料理は、ちょっとズレているけど愛情深くてほほえましいです。
家庭料理だけじゃなく、お互いにお土産として買ってくるお菓子や、定食屋、ラーメン屋、森宮さんと優子ちゃんが一緒にいるときの食事はいつもおいしそうです。
ちょいネタバレになるんだけど、食事にまつわる冒頭の描写が最後の最後に回収されてスッキリ…!
森宮さんに限らず、優子ちゃんの周りの親や大人たちの提供する食べ物はどれもあたたかいものばかり。
普段手を抜きがちな夫への食事をちょっとは改めようと思った次第です…。
食事に関する嗜好の一致って、ほんとに大事だと感じました。
子供のいる人は、もれなく大号泣すると思います。
もうすぐ映画化されるんですね!
映画『そして、バトンは渡された』オフィシャルサイト | 10月29日(金)公開
1位 吉本ばなな 「キッチン」
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ、人が死ぬことそして生きることを、世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中で、あなたに語りかけ、国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー、待望の定本決定版。〈吉本ばなな〉のすべてはここから始まった。
引用元:吉本ばなな 『キッチン』 | 新潮社
もう20年ほど前に読んだ作品ですがいまだに強烈な印象を残しているのがこの「キッチン」。
まだ、これを超える「食べ物小説」は無いかもしれないです。
食べ物の描写から「におい」が立ち上るくらいの表現が見事です。
あと、タイトルの「キッチン(台所)」の音や風景もいいですね。
何を書いてもネタバレになりそうで何も書けないけど…あの台所の「音」に関するシーンは忘れられませんね。誰でも一度は経験あるのでは?普段意識しないのに、気になったとたんにずっと聞こえる「あの音」。
そして夜中に届けようとされる2話目の「あの料理」は最高においしそう…!!
…そしてなんと!なんとなんと!!これを書いている次の日(2021年9月10日)に、「ムーンライト・シャドウ」(キッチンに収録されている3話目)が、映画公開されるって知りました~!
映画「ムーンライト・シャドウ」公式サイト
2位にあげた瀬尾まいこさんの作品に続きムーンライト・シャドウまで公開予定なんてびっくりです。
コロナがなかったら観に行くのに…!
以上、私の読んだ本の中で「食べ物がおいしそうな本」3選でした。
これからもたくさん本を読んで、おいしそうな食べ物とそれにまつわる物語を楽しみたいと思います。
番外編:村上春樹の小説も食事の描写が印象的ですね、私は自分とかけ離れすぎていて 何か思わず笑っちゃうんですが…