いっぽいっぽ日記

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日々シンプルに心地よく過ごすために、やってみたこと、思ったこと。

「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」に行ってきました。

練馬区美術館で開催されている「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」に行ってきました。

www.neribun.or.jp

フライヤーの「電線絵画」の文字が電線でつながっているデザインでかわいいです。

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会期は2021年2月28日から4月18日まで。

始めて練馬区美術館に行きましたが、美術館前の広場にはかわいい動物のモニュメントがたくさん。
小さい子がたくさん遊んでいてとてもほのぼのしてよかったです。
美術館に入らなくても、この広場にいる動物を見て回るだけで十分楽しめそうです。

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内容は12章からなる構成でした。
プロローグ 日本最古の電線絵画
第1章 晴れやか 誇り高き電信柱
第2章 晴れやか 誇り高き電柱-電気の光
第3章 富士には電柱柱もよく似合ふ。
第4章 切通しと電柱-東京の増殖
第5章 帝都 架線の時代
第6章 伝統と電柱-新しい都市景観
第7章 災害と戦争-切れた電線、つなぐ電信線-
第8章 東京の拡大-西へ西へ武蔵野へ-
第9章 ”ミスター電線風景”朝井閑右衛門と、木村壮八の東京
第10章 碍子(がいし)の造形
第11章 電柱 現実とイメージ
第12章 新・電線風景

普段とても身近な電柱と電線。
今回の展覧会では、その電線が日本でどのように始まり、拡大していったのかの歴史が非常にわかりやすかったです。
絵画を楽しむというより、電線の歴史を学ぶのにとても良い本やテレビ番組を見たような気持になりました。
電線がひかれたばかりの頃は、まだ江戸の風景が残っている明治初期。
店の軒先にたなびくのれんや木造の建物、舗装されていない道に着物の人々。そこに電柱が立つ様はおもしろく、この時代の東京を歩けるならどんなに楽しいだろうと思いました。
最初に外国から電線がひかれたのは長崎だったり、日本で初めて碍子を作ったのが佐賀県有田(今の香蘭社)だったり、九州に住んでいたころにも知らなかったことがあり、驚きました。
郵便と電線(送電)が同じ時期に発達し、しばしばペアで画題に描かれていたことも知りませんでした。
作者不詳の国際年賀状(明治25年)には虫食いがあり、よくぞここまで保存してくれたなあと感謝の念がわきました。
伊東新水・川瀬巴水・吉田博の木版画が展示してあり、各々の電線への向き合い方や、技法などを比べることができて、この部分は絵的にもとても好みで、うれしかったです。
碍子も実物がたくさん展示してありました。碍子はマニアの方もいらっしゃるほどその造形が独特でおもしろいです。
電線にまつわる現代美術も展示がありました。坂本トクロウさんの絵画がとてもよかったです。
少し前に開催されていた坂本トクロウさんの展覧会に行けばよかったなあと、ちょっと後悔しました。

電線は、景観を損ねるとして地中に埋められることがある一方、懐かしい気持ちになったり、なんとも不思議な存在だと思いました。
電線を引くことは一大事業であり、その過程に起こった様々な出来事も興味深く、未知のものを取り入れることはいつの時代も大変だなと感じました。
コロナ禍での様々なうわさや報道と重なる部分があり、人間ってこうだよな~かわらないな~と笑えて来ます。