「あやしい絵展」に行ってきました
先日、東京国立近代美術館で開催されている「あやしい絵展」に行ってきました。
おめあては、フライヤーにも採用されている上村松園の「焔」。
この企画展の会期自体は2021年3月23日から5月16日までですが、
この「焔」は3/23~4/4の短い間の限定公開でした。
桜のきれいな時期にあたり、東京国立近代美術館から近い九段下の桜を遠巻きに観ることもできました。
石垣・桜・武道館の玉ねぎ。
観光した気分になり、なかなかよかったです。
東京国立近代美術館へは初めて行きました。
こちらも前の道路の桜が満開で、歩いている人も多かったです。
会場前には長蛇の列でした。
会場内も混雑していて、ざわざわしていました。
会場内には私がいつも行く企画展より若い人やカップルが多かった印象。
なんだかわかる気がします…私も大学生の頃いわゆる「エログロ」みたいなものに魅力を感じていたころがあります。
サロメをテーマにした小さな劇団の公演とかにも行っていました。
歳をとったからなのか、最近はめっきり遠のいて…というかどちらかというと「過多」に感じて、なかなか触れる機会がありませんでした。
今回の企画展では、「この企画展だから観た」であろう装丁や挿絵・洋画などがたくさんあり、いい企画だったのだなと思います。
自分があまり普段なじみのない分野も、同じコンセプトのもとに集められることで幅広く鑑賞できて、いつもと違う感情を味わうことができました。
ビアズリーの挿絵も久々に観ましたし、ミュシャもあって(こちらも若いころ大好きでした)、「おなかいっぱい」な感じ。
すべてをじっくり見ると胃もたれしそうだったので、目当てのものを中心にぶらぶら観ました。
内容は大きく分けて3章からなる構成でした。
1章 プロローグ 激動の時代を生き抜くためのパワーをもとめて(幕末~明治)
2章 花開く個性とうずまく欲望のあらわれ(明治~大正)
-1 愛そして苦悩-心の内をうたう
-2 神話への憧れ
-3 異界との境で
-4 表面的な「美」への抵抗
-5一途と狂気
3章 エピローグ 社会は変われども、人の心は変わらず(大正末~昭和)
私が心に残った作品は、
・上村松園 焔
・鏑木清方 妖魚
・甲斐庄楠音 舞ふ
・岡本神草 拳を打てる三人の舞妓の習作
・北野恒富 道行
です。
上村松園については、これを目当てにしたので言わずもがな感動しました。
髪・着物・表情すべて完璧では…?
一緒に観ていた夫は「着物の藤は、あれムカデだよね?」って言っていて驚きました。
確かに、描かれているのは蜘蛛の巣と藤の花だけど、藤の花はまるでムカデが這っている様子みたいでぞっとしました。
夫の感性が少しうらやましくなりました(笑)
そのほか甲斐庄楠音の作品や「拳を打てる三人の舞妓の習作」を観ることができたのは大きな収穫でした。
一度見ると忘れられないようなインパクトのある作品ですが、実物を見るとその生々しい「気配」を感じるような気がしました。
また、「道行」という作品を初めて知り、そのかっこいい配置・配色にしばらく時間を忘れて観ていました。
鏑木清方の妖魚は、絶世の美女というわけではないけど、なんというか「ものすごい美人の顔」でした。
語弊を恐れずに言うと「男をだめにする女の顔」とでもいうか…
これは作品の写真より実物で観た方がより感じられると思います。
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この企画展は限定公開や前後期の入れ替えが多く、実は今回私の興味のあった作品はほぼ4/4までの公開だったのですが、
とても面白い企画展なので、後期に行っても楽しいと思います。
後期には上村松園「花がたみ」も展示されますし!
東京国立近代美術館は皇居の近くで、美術館と散策を兼ねてお出かけするのにいい場所です。